硬いアルペンスノーボードブーツ、ブーツシェルやインナーブーツが足に合わなく悲鳴を上げるほど痛かったり、寒暖の差によりシェルの硬度が変わりフィーリングがいつも違うなどなど…。毎年僕の悩みの種になるのがこのブーツフィッティング。
アルペンスノーボードブーツを生産しているメーカーが限られており、試乗会で履ける機会もほとんどなく、その中で自分に1番合ったブーツを見つけるのは難しいもののブーツシェルは自分が目標とする滑りや脚力などを考え、カタログを見たり使っている知人の意見などからある程度絞り込めます。
厄介なのがインナーブーツ。成型してもすぐにヘタり、カカトが浮いてしまったり、余分な空間が出来て中で足が遊んでしまう。このことからシェルのバックルをギューギューに締めて足を固定すると、今度はシェルが硬くなり過ぎてブーツシェル本来の性能が出せなくなってしまう・・・。
こんなことを経験された方、結構多いんじゃないかなぁと思います。
僕もその1人で、「ブーツのメカニズムとインナーブーツのサポート機能を切り離して調節出来たらいいのに」なんていつも思っていました。
昨シーズン、ひょんとしたことからそんなインナーブーツを見つけちゃったんです!!
LEGNA松崎店長が「これ使ってみれば?」と出てきたのが写真にあるZIPFITインナー。正直な話、最初は半信半疑でこのインナーを履きゲレンデに出ました。滑ってみると「あれっ?全然痛くないし、カカトのホールド感が半端じゃない!!」。そしてバックルを緩めても全くカカトが浮かない魔法のようなこのインナーにゾッコンです是非使ってみて下さい!!
以下レポートです↓
近年、多くのサプライヤーでオリジナル以外の様々な素材を用いたカスタムインナーブーツがラインナップされています。これにあわせて最近ではインナーライナーを省きブーツシェルのみを単体販売するメーカーも現われ、ユーザーが好みのシェルと自分に最もフィットするインナーブーツの組み合わせを自由に選択出来るようになりました。これはユーザーの特性が各人ごとに違うのことをブーツメーカーが認識し始めた証であると思います。個々のニーズによりスノーボード・バィンディング・ブーツを組み合わせるのと同様に、さらにディティールな部分でハイパフォーマンスライディングを可能とするためにシェルとインナーブーツも自身のライディングスタイルに合わせて選択することが今や主流となりつつあります。
ZIPFITインナーではシリコーンをインナー内に注入して成型するシリコンタイプと、粒状に粉砕したコルクを特殊オイル溶剤と混合したマテリアルを熱成型するOMFタイプの2種類がラインナップされています。僕の使用しているモデルは後者のOMFタイプ「WORLDCUP LIMITED EDITION」と呼称されるタイトな反応を示すレーシングモデルになります。このモデルの最大の特徴は、形成過程で人間工学を徹底的に応用した結果得られた抜群のサポート性(特にカカト部分)と、ダイレクトな力の伝達を重視して採用された最小限容量のパッティングによって瞬時に足裏全体で敏感に雪面情報を感じ得ることです。従前に使用していたD社のサーモインナーに比較して極めて薄く、しかも硬い感触のこのインナーブーツを初めて履いた際は、確かに若干の圧迫感を感じました。しかし数時間経てコルクコンパウンドが自分の足型に馴染んでくると、足周辺の不要な空間が埋められ、ダイレクトなサポート感が顕著となり、他のマテリアルとの連携コントロールが飛躍的に向上することを実感しました。以前はライディング中のポジション変化に連れてカカトが浮いてしまったり、ブーツインナーの中に隙間が生じて足が遊んでしまうことから、その対策としてバックルをきつく締め足全体をガチガチに固定していました。しかし、バックルの本来の機能はシェルのフレックスを調整するものであり足を固定するためのものではありません。このインナーブーツを使用するとその抜群のサポート性と、前後左右の適切なフレックスバランスからオートマチカルにブーツ内で足のセンタリングが行われるため、バックルをきつく締める必要がなくなりました。ターンでは角付け時に足首を可動させ、ある程度ブーツを潰さなければターン内側に体を倒すことは出来ません。バックルを強く締めれば度合いに応じてシェルは硬くなり、その硬いシェルを潰す無駄な筋力を使っていた訳です。
足首と脚、膝をより多く使うスポーツであるスノーボードにとって「締め過ぎ」は本来あるべきブーツの機能を低下させ、ライダーの運動能力を阻害してしまう要因となります。また、僕はソフトスノーであれば板を縦に落とし易いようにバックルを少しきつく締め、ハードバーン時にはコントロールを重視して足首がよく動く様にバックルをゆるく締めるといったように、その日のスノーコンデションやスロープ状況に応じて第1、第2バックルの締め具合を調節するようにしています。ZIPFITインナーブーツを使用してこれらの微調整を行うことは、言い換えればブーツ本来のメカニズムとインナーブーツのサポート機能を切り離して微細な調節が可能ということです。この調律によりさらにハイパフォーマンスなライディングがもたされます。
また、このOMFタイプのブーツインナーは加熱しても硬化せず柔軟性を保持しますので、自分の足型の変化に応じてシーズン中に何度でもモールドを作り直すことが可能です。という訳で経済的にも大きなメリットを生み出します。是非、皆さんにも、タイトでありながらイージーコントロールを可能にしたこのZIPFITインナーを活用して快適なスノーボードライフを愉しんでいただけたらと思います。